

予約の取れないクリニックの”演出家”に聞く ブランディング作りと実践方法とは?
美容クリニック業界は競争が激化しており、ただ施術を提供するだけでは生き残るのが難しい時代になっています。そんな中で、TikTokをはじめとするSNSを駆使したマーケティング戦略で複数のクリニックを成功に導いた山本大輔さんにクリニック経営とマーケティングのポイントを伺いました。

医療法人Artsists COO / 株式会社ワイブロ 代表取締役 山本 大輔 氏
L'or ClinicのCOOとして従事しながら、計11名の美容外科医のTikTok運用を実施。 そのマーケティング・ブランディング力は、登録者71万人のYouTubeチャンネル「ヤマカイTV」の立ち上げから、戦略立案、企画、分析を担当しつつ、バレエ公演・バレエ学校事業を展開し、SNSを基軸とした経営を実施することで培った。
その力を使い、秋葉凜樹理事長と共に、L'or Clinic立ち上げと運営を行い、開始半年でTikTokフォロワー8万人を達成した。
美容医療マーケティングに携わるようになったきっかけ
ーこれまでのご経歴を教えてください。
元々は中高の英語教師を目指し、教育学と英語を専攻していました。大学在学中にイギリスへ留学し、卒業後は24歳で教師としてのキャリアをスタートしました。同時期に、アメリカでプロバレエダンサーとして活動していた弟と一緒にYouTubeチャンネルを立ち上げ、弟が表に立ち、自分は戦略や企画、分析を担当しました。
1年目は教師とYouTubeの二足のわらじを続け、2年目で英語コーチングサービス企業に転職。TOEICスコアを伸ばすサービスの先生として就職し、後に法人営業部の初期メンバーに配属されました。企業向けの営業やセミナー企画を経験し、BtoBマーケティングを学ぶ貴重なチャンスとなりました。
退職後は独立し、バレエを広める事業を立ち上げました。 バレエには「つまらなそう」「敷居が高い」イメージを持つ人が多く、ニーズがない中で開拓して市場を拡大するというマーケティングを弟と一緒にBto Cでやってきました。
そんな中で美容医療に携わることになった最初のきっかけは秋葉凜樹先生(L’or Clinic 理事長、以下凜樹先生)※にお願いされたことからでした。
ーこれまでのご経験が美容医療の部分の考え方にも活きてそうですね。
まさに美容医療のマーケティングに大きく活きています。
そもそも美容医療はすでに市場があったのでやることはシンプルでした。
成功の起点は「SNS集患」
凜樹先生のL’or ClinicでまずはTikTokを使ったマーケティングから始まりました。これが大きくヒットし、一気に新規のお客様が増えたんですが、当時は顧客教育やリピートにつながる動線が全く作られていない状態で、DMで「行きたいです」と言ってすぐ予約できた人だけが来院する形でした。
そこで「導線をしっかり作れば売上が3倍、4倍、5倍になる」と提案しながら、商品設計や運営体制についてもアドバイスをしていきました。最終的には「全部やってほしい」と凜樹先生に頼まれ、COO的な立場で組織設計からマーケティング、内部体制づくりまで任されることに。
その結果、L’or Clinicはどんどん成長していきました。1〜2年を経た頃、スタッフさんの紹介で早田悠里子先生(Lu Bijou Clinic 院長、以下ゆりこ先生)※と出会い、SNS運用をサポートすることになりました。これも大きく当たり、さらに飛躍や集患力が伸びました。
そんな中、紀田基邦先生(KIDA CLINIC 院長、以下紀田先生)※が興味を持ってくださって、ゆりこ先生経由でご依頼くださりました。他にも複数の方からお引き合いいただいて、 5〜8件ぐらいを拡大していきました。
ゆりこ先生のクリニックもL’or Clinicと同じような立場で、 内部設計から全部組み上げているという感じです。

美容医療マーケティングにおける「分かりやすさ」の重要性
ー美容クリニックの集患において、最も重要なことは何でしょうか?
集患で一番大切なのは、「分かりやすさ」だと思います。
マーケティングの各フェーズで、とにかくシンプルで直感的に伝わるようにする。SNSの投稿、メニューの表現、予約導線、価格設定、すべてのフェーズで「分かりやすさ」を追求することで、お客様は迷うことなく行動できるので、集患効果も高まります。
ターゲットを「女子中学生でも理解できるレベル」に落とし込むことを基準にしています。「直感的に理解できるかどうか」が、顧客をスムーズに行動させる鍵だからです。
medicalforceの予約の取り方も、 すごく直感的に作られてますよね。考えなくても、「 多分こうだろうな、 ポチポチ」って押したら予約が取れちゃうみたいな。機能面でも「分かりやすさ」は重要なポイントになると感じています。