

クリニック力を底上げする技術ドリブンの経営メソッド
2024年11月19日(火)に開催したセミナー「クリニック力を底上げする技術ドリブンの経営メソッド」では、麻布ビューティクリニック院長の加藤 聖子先生をお招きし、患者様に選ばれる技術力のあり方やトップクオリティの治療を支える技術の磨き方などについて、お話を伺いました。

麻布ビューティクリニック 院長 加藤 聖子先生
東京大学医学部を卒業後、整形外科を中心に医療全般を習得後、大手美容外科での勤務を経て、2008年に麻布ビューティクリニックを設立。高い技術力が人気を博し、多くのリピーターを抱えるクリニックを経営する傍ら、アラガン社ファカルティメンバー(顧問指導医)として日本のみならず海外でも注入指導を行う。日本人で唯一アラガン社より発足された Leaders of the Futureに選出され、世界基準の注入技術を普及させるべく活動している。
選ばれ続ける麻布ビューティクリニックと技術力について
―最初に麻布ビューティクリニックに来院する患者様の特徴についてお聞かせください。
加藤先生:当院は圧倒的にリピートの患者様が多く、全体の8割以上を占めています。10年以上の実績があるため、患者様のお嬢様やお母様が来院されたりすることも多いですね。
開院当初は資金も限られていましたので、主に患者様が当院の施術について書いたブログを通じた口コミで広がっていきました。現在はSNSも運営していますが、基本的には、治療に満足した患者様が周りに紹介してくださるという、地道な集客の仕方です。
―高いリピート率を実現できた秘訣を教えていただけますでしょうか。
加藤先生:最後まで責任を持って治療することです。以前の注入医療は、外科と皮膚科の狭間の領域で、一般的に治療後の経過をしっかりと見るシステムがありませんでした。しかし私は、必ず患者様にチェックアップに戻っていただき、施術の結果を確認。より良い治療結果を出すために何度も患者様と向き合うことで、私の技術が磨かれ、自然と信頼関係が築かれていきました。
そうした積み重ねによって、患者様に「このクリニックは、私の通う場所なんだ」という意識ができていくのだと思います。開業当時は知らなかったのですが、そういった経営理論があるそうです。また「医師は自分が満足するまで治療するな」という鉄則がありますが、私は患者様が満足したらそれでよいとは考えていません。私自身が納得した顔で街を歩いていただけるまで、責任を持って治療することを信条としています。こうした向き合う姿勢が、リピーターの獲得につながっていると考えています。
―お客様との信頼関係を築くために他に意識している点があればお聞かせください。
加藤先生:常に技術をアップデートすることです。美容医療は日進月歩で進化しています。今の自分のやり方に満足するのではなく、アンテナを張って、良い治療は積極的に取り入れていくことが大切だと考えています。
コロナ禍にオンラインで海外の学会に参加する機会が増え、それが大きな転機となりました。世界では行われている治療について知ることができ、非常に刺激になりました。
あとは自分が学んだ技術を積極的に他の医師にも共有するようにしています。美容クリニックは、あまり技術の共有をしない傾向にあります。しかし、私は10年間整形外科医として勤務していた経験から、習得した技術を共有することは当たり前だと考えています。教えることで自分自身も学び、質問を受けることで新たな気づきを得る。そうした相乗効果で、お互いの技術がアップデートされていきます。
―その他に技術をアップデートする方法があればお聞かせください。
加藤先生:私の技術・知識の多くは、論文から得たものです。学会やセミナーなどに参加しなくても、論文から多くのことが学べます。論文は高度なエビデンスレベルが求められるため、信頼性の高い情報が得られる点がメリットです。また多くの論文を読むなかで、「この先生がある時から別の方法を採用するようになったのはなぜだろう」といった、興味深い気づきがたくさんあります。