美容クリニック開業は準備が9割

美容クリニック経営のヒントとなるセミナーを開催しています。 2024年7月11日(木)に開催したセミナー「美容クリニックの開業は準備が9割」では、メディカルフォースのBrand Consulting事業部の責任者・坂野 栄信と、Brand Consulting事業部のブランドコンサルタント・伊藤 美帆が登壇。 開業までのロードマップ・ツールの選び方・コンセプト設計とブランディングの3つのテーマで、開業に必要な準備について解説しました。

株式会社メディカルフォース Professional Service 事業責任者 坂野 栄信

筑波大学卒業後、テレビ朝日系列局でアナウンサーとして従事。その後サイバーエージェント、ベンチャー企業で広告領域の法人営業や事業開発を経験した後に、フォースタートアップスでスタートアップの組織・採用コンサルタントとして従事。メディカルフォースに事業開発として加わり、美容医療・自費診療クリニック様向けの集患支援事業の責任者を務める。

株式会社メディカルフォース Brand Consulting事業部 ブランドプロデューサー 伊藤 美帆

美容クリニック計2院にて約4年間受付カウンセラーとして経験を積む。その後、広報マネージャーとしてクリニックの立ち上げやSNS運用、採用、教育などに幅広く携わる。カウンセラー経験を活かした広報として最新の美容医療情報を発信し、院内では効率的に動ける仕組みを企画・提案。愛されるクリニック作りを経験。美容医療歴は6年。

1. 開業までのロードマップ

坂野: 開業準備は大きく「戦略構想期」「開業準備期」「開業直前期」の3段階に分けられます。

まず戦略構想期のうち、開業7~12か月前の時期は出店エリアの選定と、ユーザー属性や人気の施術といった市場調査が重要です。それをもとに、先生のバックグラウンドや強み、軸となる施術を踏まえ、クリニックのコンセプトを設計していきます。伊藤さんは、実際のクリニックの立ち上げ経験から、どのように考えていますか?

伊藤:私も エリア選定とコンセプト設計は本当に重要だと考えています。そのエリアのユーザー特徴を掴むことで、クリニックコンセプトやメニュー、内装、機器選定、価格設定など大きく変わってくるからです。

地域特性も重要で、都心部では駅から近い立地が好まれますが、地方は車社会のため駐車場があることが重要な場合もあります。競合情報については、単にクリニックがないエリアを選ぶだけでなく、その地域の美容医療の需要や美容リテラシーの高さも見極める必要があります。エリアと競合のリサーチをもとに、先生の思いやビジョンを考慮しながらコンセプトを設計することで、採用方針や組織づくりの方向性も明確になります。

最初にきちんとコンセプト設計をすることで、その後の動きがスムーズになり、スタッフも迷ったときにコンセプトに立ち返ればよいという指標ができます。逆にコンセプトがぶれるとその後の全てに影響してしまいます。

採用に与える影響も大きく、多くの患者様をスピーディーに診察するクリニックと、一人の患者様にじっくり寄り添うクリニックでは、求める人材が異なります。

坂野: コンセプトが言語化できていないと人材のミスマッチが起き、早期離職や機会損失にもつながりますよね。クリニックが何を目指しているのかを患者様から見てもスタッフからも見てもわかるよう統一することで、早期黒字化を達成でき、クリニック開業を成功させられます。

コンセプトを決めた後は、開業6か月くらい前から物件探し・融資・施術メニューの決定・Webサイト制作などを進めます。開業2~3か月前は、電子カルテなどのシステム選定・採用・口座開設・プロモーション設計などを行う時期です。開業1~2か月前からは、スタッフ研修やオープン準備を行います。電子カルテのトレーニングも重要で、現場スタッフがシステムに慣れることで開院当初からスムーズにオペレーションできます。

2. 失敗しないツールの選び方

坂野: クリニック業務のほとんどは電子化できますが、注意点もあります。カルテ・予約管理・在庫管理・経営管理・会計システムといった各ツールをバラバラに導入すると手間が増えるリスクがあります。連携が難しくなり、もし連携できたとしても、エンジニアや専門知識が必要となり、人件費が増え、ミスが発生しやすくなります。

伊藤: クリニックのスタッフ経験をもとにお話ししますと、一つのシステムで全てを管理できた方が圧倒的にストレスフリーですし、操作しやすく覚えやすいです。複数ツールを使うと、新しいスタッフが入った時に覚えることが多く、システム間の連携がないため手入力が必要となり、ミスが起こりがちです。その結果トラブルにつながり、対応に時間を割くことになります。全ての業務を完結でき、誰もが使いやすいツールを選ぶのをおすすめします。

坂野:もし別々のシステムを使う場合は、運用マニュアルの作成、ヒューマンエラー防止のチェック体制構築、システム連携の確認が重要です。ただし、手間がかかるのでやはりワンストップで電子化できるシステムがベストだと思います。

システム選定の際のポイントは3つあります。1つ目は業務効率化・集患効果を含めて費用対効果があるか、2つ目は実際の使い心地はどうか、3つ目は導入後のサポート体制が充実しているかです。

2つ目と3つ目は非常に重要で、ユーザーインターフェースに注力しているツールや土日も含めて困った時にすぐ対応できるサポート体制のツールを選ぶと、スムーズに使いこなせます。

伊藤: すぐに使用方法を覚えられるツールであれば、その分の時間を患者様への接客や施術の理解など重要なことに割けます。スタッフがストレスなく使えるツールを導入することで、顧客満足度向上やスタッフのスキルアップにつながります。

3. 成功の鍵はコンセプト設計とブランディング

坂野: 美容医療市場はここ10年で約2倍に成長しています。クリニック数も増え、競争が激しくなり、人材獲得に苦戦したり、広告費が高騰したりしています。そのためクリニック経営に成功するには、高い技術力だけでなく、それをしっかり発信できるマーケティング力とブランド力が重要になっています。

伊藤:市場拡大の背景には、エステの施術への規制が厳しくなり美容医療の価格が低下するなかで、エステ感覚で美容医療に通う20代・30代の若い世代が増えていることがあります。また、内科や歯科など保険診療のクリニックが売上げを維持するために、美容医療に進出するケースも増えています。

坂野:競争が激化するなかで経営に失敗してしまうケースもあります。失敗事例を分析すると、「集患の課題」「人の課題」「業務効率の課題」の3つの課題があります。

どれも重要なのですが、一番重要なのは患者様が通いたくなる・通い続けたくなるように、あらゆるタッチポイントで良い顧客体験を生み出し続けることです。その基礎となるのが、ブランドコンセプト設計とブランディングです。

ブランドコンセプト設計とブランディングの主な価値は5つあり、集患の課題・人の課題・業務効率の課題の解決につながります。

坂野: コンセプトには正解・不正解はなく、どの方向性を選ぶかが重要です。例えば、低価格で高回転のカタログ型カウンセリングを行うクリニックと、中高価格で患者様一人ひとりとの時間を大切にするカスタマイズ型のクリニックでは、内装、バックヤードの設計、オペレーションがまったく異なります。

坂野: ブランディングとは、クリニック側が「こう思われたい」というブランドコンセプトと、患者様がクリニックに対して抱くイメージを限りなく近づけることです。患者様が持つイメージはそれぞれの価値観や接する情報によって異なるため、クリニック側でコントロールできるのは「どう思われたいか」を発信することだけです。そのためには「意図的」「一貫性」「継続性」の3つが重要です。

具体的には、ロゴ・フォント・タグライン・Webサイト・院内の空間・接遇など、全てのタッチポイントで一貫したブランドイメージをつくりあげ「どこを見てもこのクリニックらしい」と感じてもらうことです。

ブランディングの効果には「内部効果」と「外部効果」があります。内部効果としては、クリニック内の意思統一・社員のモチベーション向上・採用成功。外部効果としては、認知度や信頼度の向上・広告コストの削減・付加価値の創出とファン化の促進・リピート率向上などがあげられます。

坂野: ブランディングは、最初に戦略を固める「ストラテジー」、次に「クリエーション」、最後に「コミュニケーション」という3つのステップで進めます。戦略段階では、調査分析・ブランドコンセプト策定などを実施します。クリエーション段階では、ブランドガイドブック作成やビジュアルアイデンティティのデザインなどを行います。コミュニケーション段階では、それらをマーケティング施策やPRに落とし込みます。

坂野:伊藤さん、最後にあらためて美容クリニックのコンセプト設計やブランディングで大切なことをお聞かせください。

伊藤: コンセプト設計やブランディングでは、先生方がどういう思いを持ってクリニックを立ち上げたいのか、今後どういうクリニックにしていきたいのかが大切です。しかし「方向性が合っているのか」と不安に思われる方も多いと思います。私たちはさまざまなクリニックの成功事例や失敗事例を知っていますので、何をすべきかわからないという段階からご相談いただき、先生が本当にやりたいことをサポートしたいと考えています。

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